「俺も沢井が好きだって言ったよな」
「そ、それが信じられなくて。だって矢野くん、わたしのこと嫌いだったんじゃ……」
同じクラスになり、同じ学級委員になってから、何度も何度も矢野くんにはため息をつかれてきた。
わりと厳しいことも言われ、冷たい目を向けられたことも数えきれない。
これっぽちも好かれていたとは思えなかった。
「あー、ちがう。それはちがう。嫌いだったわけじゃない。それはほんと」
「でも……」
「つーかたぶん、俺の方が好きになったの先だし」
矢野くんの仰天発言に、わたしはこぼれ落ちそうになるくらい目を見開いた。
待って。
俺の方が先って、わたしがいつから矢野くんを好きになったのか知っているってこと?
だとしたら、どうやってバレてしまったんだろう。
秘密にしていたはずの恋心が、相手にとっくに知られていたと思うと、恥ずかしくてまた逃げてしまいたくなった。
「あのさ。さっきは言わなかったけど……あるんだよ、俺にも」
「あるって、なにが?」
「後悔。ひとつだけある」


