放課後、キミとふたりきり。


彼女が手元をのぞきこむと、ゆるく巻かれた髪が揺れ、甘い匂いがふわりと舞い、なぜかわたしがドキドキさせられる。



「あたしも言ったじゃん。絶対見に行くって。それに作るの得意って言ったでしょ。あたしの手帳見る? デコりまくって超かわいいよ」

「別に見たくない。つーか手伝いとかいらねぇし」

「なに遠慮してんのー? あたしと瞬の仲じゃん」

「お前な……」


痴話喧嘩のようなふたりの息の合ったかけ合いに、ひとり勝手に胸を痛めていると、藤枝さんがちらりと視線を寄越してきた。


ハッとして立ち上がる。

長いまつげに縁どられたガラス玉みたいな瞳に「ほら、さっさと行け」と言われているのを感じた。



「あ、あの! ちょっと、トイレに行ってくるね……」


矢野くんは目線は手元に落としたまま「おー」と、聞こえているのかいないのかわからないような返事をした。