放課後、キミとふたりきり。


わからない、というよりも、わかりたくないという意味合いの方が強いのは、その言葉尻から読み取れた。

好きな人に軽蔑されていくのを、こんなにも直接感じなければいけないなんて、どんな拷問だろう。


嫌われたいわけじゃない。

好きな人には好かれたいと思う。

けれどどうやったら好かれるのかがわからない。


いや、本当はわかっている。

藤枝さんみたいになればいいんだろう。

自分に自信を持って、言いたいことを言って、上手に甘えて、遠慮をなくせばいい。


頭ではわかっていても、どうやったらそれを実行できるのかがわからないのだ。

わたしはどうがんばっても、藤枝さんのようにはなれそうにない。



「沢井さん?」


どうしよう。もうムリだ。

気持ちを浮上させられない。

矢野くんの前で笑顔を保てる気がしない。

そう机に沈みそうになった時、廊下から声をかけられハッと顔を上げた。


教室前方の入り口に、男子生徒がひとり立っている。