「……沢井は? 中学の時から美術部?」
「う、うん」
「上手いもんな、絵」
褒められて、一瞬頭が真っ白になるくらい驚いた。
まさか矢野くんに褒められるなんて奇跡が起きるなんて。
「そ、そんなこと。わたしは続けてるだけで、全然下手なんだけど……」
どう返せばいいのかと、手を振りながら焦ってそう言うと、
矢野くんはなぜかムッとした顔をした。
「そういうの、よくないぞ」
「……え」
「お前が自分で下手だと思ってたら、お前の絵は下手なままだ」
どういう意味だろう。
下手だから下手、と言うのはいけないんだろうか。
下手なのに上手いと言えば、上手くなるんだろうか。


