日常の体温、特別の鼓動



冷ましたマカロンを、壊れないように箱に詰める。

彼女に渡すのは昼ごろになるかな。

今日もいつもみたいに、早めに稽古に来てくれたらいいんだけど。


彼女と顔を合わせるよりも先に、彼女の声を知っていた。

いや、知っていたどころじゃなくて、憧れていたし、恋い焦がれてすらいたかもしれない。

アラサーのくせに、年甲斐もないけれど。


ぼくは仕事の傍ら、劇団に所属している。

公演依頼もたびたびあって、特に声の舞台が多い。

ラジオドラマとか、朗読劇とか、アニメの端役とか。


彼女もそうだ。

別の劇団のメンバーで、ぼくよりももっと声の世界で有名だ。

彼女は、凛として芯の通った、ピュアで可憐な声をしている。

キッパリと強気なキャラの声を当てることが多い。