日常の体温、特別の鼓動



「だって、髪が邪魔そうで」

「こんなの……かえって恥ずかしいです。あ、あなたに食事介助されるのも、すごく恥ずかしいけど……っ」


そう、彼女は照れてくれる。


たとえばマカロンを、彼女の手の代わりに、ぼくの手が彼女の口元に運ぶこと。

彼女にとってもぼくにとっても、それは日常のはずなのに。


ぼくは介助のプロなんだよ、と笑顔で告げても、彼女は割り切ることができないらしい。

それがぼくには嬉しくてたまらない。


うぬぼれていいかな?

彼女に恋する1人の男として。