「じゃ、じゃあもしよかったらさ、今日これから俺とご飯いかない?」


え…?


課長にいつも天然ボケって笑われるわたしにだってわかる。これって…そう言うお誘いだよね?


「実は俺ずっと三森さんのこといいなって思ってたんだよ。…でもすげーライバル多いから」


ライバル?

なにを言ってるんだろう?

だんだん富田さんの言っていることが理解できなくなってきた。


とりあえず…
今はお付き合いすることも考慮して、ご飯のお誘いに答えなきゃ、だよね…。


課長が好き。
でも、叶わない恋なんだ…。

それならいっそ、新しい恋に向かった方が…。


「い、嫌だったらいいんだよ!急に誘ってびっくりだよね、迷惑だよね」

「いえ、迷惑だなんて…」

「じゃ…」


富田さんの顔に広がった笑顔にほだされる。

課長とはちがうタイプの男の人。
キャラメル色の瞳でも王子様な雰囲気でもないけれど、だからこそ気さくで親しみを感じる。

課長のことは忘れるべきなのかな…。

前に進んだ方が、いいのかな…。



「三森」



そこに、ぴしゃりと冷やかな声が聞こえた。