蛹の涙


「・・・きっくー、さん・・はどうして私なん____」 

ガラッ

突然、引き戸が開かれた。授業まで、後10分程あるが、この時間帯の訪問者は意外と珍しい。



私は、未だにニコニコと笑い続ける東雲さんに、私に構うな、という意味を込め、皮肉を言うつもりだった。

勿論、完全なる悪意ではなくて、突き放すために、だけど。

しかし、それさえもカミサマは言わせてくれないと言うのか・・。



そう思いながら、誰がいるかなんて分かり切った、引き戸を開けた人物を見た。

「・・・・よぉ。」
「・・・・何のようでしょうか?」

嫌いなら、来なければいいのに。

嫌みを言い、暴力を振るう為に来るなら、来なければいいのに。

顔を合わせたくないのは、私だって一緒なんだよ。