さよならから始まる

その素っ気なさが、付き合っていたときと変わらなくて。

懐かしくて、少し笑みが零れる。


私はケータイをぎゅっと抱きしめた。


…あなたのメールアドレス。


何度も、何度も、連絡先から消そうと思った。


消さなきゃだめだって、忘れなきゃいけないって、分かっていたのに、

それでも消せなくて、ずるずると決断を引っ張って。


あなたが好きだと気持ちが膨らむ度に、メールアドレスを削除するなんて考えが出てこなくなって。


それで今日、メールが届いた。


それは、あなたも私のメールアドレスを削除しなかった。


あなたもまだ私を忘れていなかった。


あなたの頭の片隅に、私が存在していた。


そう、考えても、いいですか?


ずうずうしい、なんて分かってるけど。


なんでメールをくれたのか、なんて分かんないけど。


あなたとまた話せて、関われて、嬉しい。


ただただ、嬉しいの。