「どうして」
どうして。
どうして、あなたが。
私に、何の用事があるというの。
心臓はばくばくと今までにないくらい大きく強く心拍する。
このままじゃ、壊れてしまいそうだ。
私は震える指でそっとメールを開いた。
『元気にしてる?』
メールに書かれていたのは、たったこれほどの言葉だった。
たった7文字。
こんなにも緊張して、こんなにも怯えていたのがばからしくなるほどに単純で明快な文章。
それなのに、分からない。
このメールを、この7文字を、私に送った、あなたの意図が。
あなたは、どういうつもりで送ったの。
あなたを傷つけた私が元気かどうかなんて、あなたは知りたくもないでしょうに。
私は迷いながら、文字を打った。
『元気だよ。あなたは?』
送ってから失敗したと思った。
きっとあなたは私と話したいなんて思っていない。
それなのに私はあなたとのメールが続くような文章を送ってしまった。
また、あなたを苦しめてしまう。
はあ、と深く溜息をこぼしたそのとき、ケータイはまた鳴った。


