…さよなら、と言われたこと。


当然だと、思うの。


だって、あなたを好きだったはずなのに、ちゃんとあなたに言えなかった。


好きだって、言えなかった。


1度も、言えなかった。


恥ずかしさの波にのまれて、時間はいくらでもあると思い込んで。


あなたと付き合っていても、好きなのか、好きじゃないのか、あいまいな態度を取っていたの。


そしていつの日か忘れてしまった。


好き、その感情を見失ってしまった。


嫌いになってしまったわけじゃないのに。


私が悪かったんだ、全て。


だからこの胸が苦しいのは、きっと、報いだと思う。


あなたを苦しめた、悲しませた、悩ませた、その報い。


だから今になって、風船みたいに膨らんでいくのだろう。


あなたが好き。


その想いが、あの頃よりずっとずっと大きくなっていくの。


だめだな、ほんと。


笑いたくなるよ、自分に呆れて。


今になって、さよならしてから、気付くんだもの。



あなたが好き、なんて。




…今さら、遅いのに。