ああ、どこまでもやさしいひと。


あんなに傷つけたのに、苦しめたのに。


…許してもらえるなんて、思っていないけど。


でも、もしも、私にチャンスをくれるなら。


もう一度、機会を与えてくれるというのなら。



もう一度、やり直してもいいですか?



「好きです」


私はついに言った。


今まで言えなかった言葉。


言わなかった言葉。


ずっとずっと、心の中にいた、その感情。


あなたは目を見開いた。


「本当に、いいの?」


私と同じ事を聞いてる。


私はクスリと笑った。


…ああ、同じだね、本当に。


「あなたが、好きなの」


私は駆け出した。


あなたの元へ。



…私は、ばかだから。


あなたをあんなにも傷つけた、苦しめた。


「今まで、ごめんね。

たくさん傷つけて、苦しめて、ごめんね」


何度言葉にしても足りないから、せめて何度だって言いたい。


辛い過去は変えられないけれど、でも、これからのことは変えていけるから。


きっと、あの頃には戻らない。


今度はちゃんとあなたを好きになる。


好きになって、何度も伝えるから。





「あなたが、好きです」








想いを、全部。






fin.