さよならから始まる

だって、信じられない。


何を言っているのか、未だに分からない。


だって、私はあなたを傷つけた。


曖昧な態度で、あなたを傷つけた。


それなのに。



「ナツが、好き」



そんな、夢みたいな言葉、言ってもらえるはずがないのに。


「な、んで」


あなたの言葉は、予想外すぎた。


だから私の脳内はあなたの言葉を理解できるほどの余裕なんてどこにもなかった。


「あの時からずっと、後悔してた」


あなたは少し下を向いて辛そうに言う。


「あの時、俺も辛くて。

ナツの気持ち、分からなくなって」


私も辛くなって下を向いた。


肩にかけたスクールバッグを握る手に力を入れる。


「でもずっと、ナツのことを考えない日がなくて」


私ははっとして顔を上げた。


「今何してるんだろう、とか」


女々しいでしょ。


あなたは笑った。


「今、ナツは俺以外に好きな奴いるのかな、って思ったらさ、

すっごい嫌だって思ったんだ」