【澄音side】
キレイに咲いていた桜もすっかり散ってしまい、そろそろ梅雨時期。
ジメジメとした天気が続く中、部屋の窓を開ける夜。
夜風に当たりながら大好きな人を待つ時間は、嫌いじゃない。
今日、やっと大好きな海翔さんが帰って来る‼︎
今月からツアーが始まって、ほぼ家にいないんだもん…。
「ただいま〜。久しぶりだな、澄音‼︎」
「海翔さーん‼︎おかえりなさい‼︎あははっ‼︎やっと会えたぁ〜‼︎」
「ん〜…やっぱ、澄音が一番。すげー落ち着くー…」
「あたしも……」
玄関先で優しく抱きしめられ、幸せに浸る。
そっと右手を握りられて、手を繋いで歩く家の中。
少しでも触れてたいな……。
「帰って来て早々悪いけど、シャワー浴びて寝るわ…」
「疲れてるんだから仕方ないよ‼︎ツアー大変なんでしょ?」
「リハとかあるからな〜。でも、好きなことだから大変じゃねぇ」
「そうだよね…」
ほんとは寂しい。
けど、あたしは歌って輝いてる海翔さんが好きなんだ。