【海翔side】



マンションから見降ろす景色は春一色の4月。


桜が咲いている中、無事にギリギリ進級出来たらしいアイツ。


しかも、2年生から黒髪真面目モード。


あの金髪が見違える程、真っ黒で。


濃い化粧もかなり薄くなって、リップが目立つぐらいだ。


急にどうした澄音ちゃん……。


まぁ、可愛いことに変わりはねぇけどさ。



ライブの打ち合わせを早く切り上げ、夕方に帰宅した俺。


早々に澄音は俺に抱きついて来た。


「おかえりー‼︎海翔さん‼︎」

「ただいま〜。…やっぱ、黒髪見慣れねぇな」

「でも似合うでしょ?」

「否定はしねぇかな」


なんて笑えば、頬を膨らませる。


仕草がすげー可愛いの。



冷蔵庫から缶ビールを出して、ソファーに座った時。


テーブルの上にある紙が目に入った。


『バイト許可書』だって……。


「あっ‼︎海翔さん‼︎お願いしますっ。それ、書いて?」

「バイト許可書って…お前、バイトすんの⁉︎」

「うん。ダメ?」


そんな小首傾げられたってさ〜……。