車で約1時間の距離の澄音の実家。
3階建ての普通のアパート。
201号室で脚を止めた。
「お前、家の鍵とか持ってんの?」
「家出する時に置いて来た…」
「じゃあ、こっちだな」
ドアの横にあるブザーを鳴らすと、中から女の人の声。
澄音の母親か。
「はーい。…って、澄音…⁉︎」
「お母さん……」
「…っ‼︎アンタ今まで何してたの⁉︎また人に迷惑ばかり掛けてたんでしょ⁉︎何か言いなさいよっ‼︎」
玄関先で頭ごなしに怒鳴られてる姿は、見てられなくて……。
「すみませんでした。俺が勝手に預かってんです」
「貴方は……どこかで見たことある様な…」
「フルールというバンドに所属してます。黒宮海翔です」
「フルールって……アンタ、ほんとに何してるの⁉︎澄音‼︎」
「違うの…っ。その…海翔さんと……」
俺の顔を見上げて口を紡いだ。
〝付き合ってる〟なんて迂闊に言えないもんな……。

