【海翔side】
浮かない顔した澄音が、俺の車の後部座席にいる。
仕方ないっちゃ仕方ないんだが……。
車に乗せるまでも、だいぶ苦労したし。
「海翔さん、やっぱり行きたくないよ…」
「俺が行きたいんだよ。黙って着いて来い」
「うちの住所知らないクセに‼︎」
「バーカ。お前、机の上に生徒手帳放ったらかしだったぞ?」
「嘘⁉︎最悪……」
生徒手帳に住所書いてるから丸分かり。
詰めが甘いな。
俺の正月休みを利用して、澄音の実家に行くことにした。
付き合ってる上に、ほぼ同棲状態。
親にしたら心配なはずだ……。
澄音の口からは、母子家庭ってことしか聞いてないけど…。
「お前ってひとりっ子?」
「うん。あたしを産んですぐに、お父さん女作って離婚したから」
「そっか……」
「海翔さんは兄弟いるのー?」
「いるよ。中3の妹」
「えーっ‼︎会ってみたい‼︎きっと、美人さんなんだろうな〜」
明るく振る舞う澄音。
でも、この笑顔の裏には悲しい思いもたくさんあるはず。
取り除いてやりてぇな…。

