ヘラヘラ笑うコイツは計算なんて出来る器用なヤツじゃない。
いつだってそうだ。
無自覚に俺を振り回す。
「海翔さん…。やっぱり、まだ起きてても良い?」
「寝れないの?」
「うん。隣で大人しくしてるから」
ソファーに座る俺の隣に、ちょこんと座った。
風邪引いたら困るから、寝室から俺の毛布を持って来て澄音に被せる。
「ぶっ‼︎掛け方雑過ぎです〜…」
「文句あるなら自分の部屋行けバカ」
「ないない‼︎文句なんてないよ‼︎ありがとう、海翔さん‼︎」
「いーえ。ちゃんと脚にも掛けとけよ」
「優しい〜。あたしね、フルールのみんな好きだけど、海翔さんが一番好き‼︎」
くしゃっと笑って俺を見詰める。
この天然バカ……。
「………あっそ」
「冷たいー‼︎」
ただ、一つだけ分かった。
コイツになら、無自覚に振り回されたって悪い気はしてない俺がいる。

