無力な自分に嫌気が差す毎日。
それでも、海翔さんはいつも笑顔で仕事に行く。
不安な日が多いから、海翔さんが帰って来たら安心するの。
「ただいま〜」
「おかえりなさい‼︎今日も、記者さんに囲まれたでしょ」
「ははっ‼︎その通り‼︎テレビ局行く時にしぶとく……」
「今もテレビで海翔さんの事やってるから知ってる…」
テレビに視線を移すと、まだ懲りずに熱愛報道。
もう嫌だ……。
「テレビ消すか〜。えっと…リモコンっと…」
テレビが消えると、耳が痛くなるほど静かな室内。
海翔さんは、今ツラくないの?
どうして、いつも通りに仕事出来るの?
あたしのこと、責めないし……。
「澄音〜、腹減った‼︎」
「あっ…うん‼︎今、準備するね」
「今日、昼メシ食ってねぇんだよー」
ぎゅっと、後ろから抱きしめられた。
体温が心地良い…。
海翔さんが必要としてくれてる間は、あたし側にいるよ。

