【澄音side】
ポカポカした暖かい日差しが、マンションの室内にも届く。
長い廊下をパタパタ歩き、鞄を持ち上げた。
今日からあたしは、女子高生ラストの3年生‼︎
卒業するまで頑張るんだから‼︎
玄関先には、ぺちゃんこ頭で欠伸をしてる海翔さん。
時間が合えばお見送りしてくれるの。
「相変わらず、スカート短けぇな…」
「女子高生の特権ですから‼︎」
「俺以外のヤツに触らせんじゃねーぞ」
「触らせないし‼︎もう、時間無いから行って来ます‼︎」
「ん。行ってら。気を付けてな」
ふざけたこと言いつつ、優しい笑顔で頭を撫でてくれる。
しかし行こうとした瞬間、ぐっと腕を引っ張られた。
「忘れもん」
「へっ?……んっ…」
「じゃ‼︎行ってらっしゃーい」
不意打ちのキスはズルイ‼︎
しかも、その意地悪な笑顔‼︎
でも………嫌いじゃないんだよね…。