寝不足のまま登校した学校。
教室に入るなり、誰かの背中にぶつかってしまった。
「ごめん…‼︎あ、龍也…」
「澄音か。おはよ」
「おはよ〜。今日もサッカー部、朝練お疲れ様だね」
「ははっ‼︎ありがとな」
なんて、席に着こうとすると急に腕を掴まれた。
また龍也かっ‼︎
「キーホルダー…付けてくれたのか?」
「うん。可愛いから」
「やべぇ……めちゃくちゃ嬉しい…」
両手で顔を隠し、そっぽを向く。
そんな時、海翔さんの言葉がふわっと頭に浮かんだ。
〝絶対、澄音のこと好きだろ‼︎〟
いやいやいや‼︎
まさか、ね…?
その日1日授業中も上の空。
斜め前の席の龍也をつい、ジーっと見詰めちゃう。
「…っ、な、なんだよ…」
「あ、ごめん…。龍也ってさ…好きな子いるの?」
「はぁ〜⁉︎」
静まり返る教室に響く、龍也のアホな声。
先生に怒られてるし……。
「澄音‼︎お前、もう話し掛けんな‼︎」
「だから〜…ごめんってば‼︎」
好きなわけ、ないよね‼︎
普通、好きな子にこんな言い方しないでしょ⁉︎

