ピンクのグロスを塗りながら、瑠奈は鏡越しにあたしを見た。


「澄音‼︎大人の恋は順調なの〜?」

「家政婦さん状態。居候してる身だし仕方ないや」


瑠奈だけが知ってる、あたしの事情。


案外、口固いから信用してるの。


「えぇ〜‼︎襲ってくれないの⁉︎」

「お前みたいなガキは相手にしねーよ‼︎みたいな感じ‼︎」

「マジ有り得ないから〜‼︎」


海翔さんは全く相手にしてくれない。


きっと、眼中にも無いはず…。



「大人の男って大変なのね〜…。瑠奈ね、フルール好きなのに‼︎」

「フルール?」

「澄音知らないの⁉︎超大人の男〜って感じだよ‼︎とりあえず、曲聴いて‼︎」

「う、うん…。聴く…」


スマホで大音量で流した曲。


ギターの音色が目立つアップテンポな曲に、入り込みやすい歌詞。


確かに、聴いたことあるかも‼︎


「あぁ〜‼︎瑠奈、フルールの愛斗と結婚したーい‼︎」

「大好きなんだね?」

「めっっっちゃ大好き〜‼︎人気過ぎて、ライブのチケットも取れないの‼︎」


話に着いてくの精一杯…。


メンバーの名前まで知らない‼︎