【海翔side】
この仕事を始めてから、毎年恒例で年末年始は休みナシ。
カウントダウンコンサートとか、歌組とか、取材とか………。
もちろん、可愛い澄音に彼女サービスしてやりたい。
けど、仕事が多過ぎて優先順位は逆転。
澄音、ほんとごめん…。
生放送の歌番組の出番待ちの楽屋。
俺の向かいに座る愛斗が、スマホをいじってニヤニヤ。
気持ちわりぃ……。
「海翔〜‼︎俺、新しい彼女出来るかも‼︎」
「ふーん。良かったな。んで、誰?」
「超有名な若手女優さん♪」
「週刊誌にすっぱ抜かれんのだけは、やめてくれよ……」
「海翔が言えた立場かよ〜‼︎」
愛斗に図星突かれたのは腹立つ…。
その件で、前に澄音とケンカもしたけどさ……。
「メシ行く時は気を付けろよ‼︎マジで‼︎」
「え〜‼︎なんで⁉︎」
「1番狙われるから。愛斗、絶対やらかすし」
「ひっでぇ〜…。今回は大丈夫だって。俺、けっこーマジ」
それ聞くの何十回目だろ…。
結局、今日の生放送は不安を抱えて歌った。
変なコトしてくれんなよ‼︎

