あれから、1週間が経った。
悠太の家はずっとあたしをいさせてくれた。
でも、そろそろ迷惑だよね……


「悠太……あたし今日帰るね」

廊下を出てからすぐに言った。

「分かった。でも、俺も行く」

「えっ?」

悠太は何も言わずにギュッとあたしの手を握りしめた。

家に帰るのが怖くて夕方まで近くの公園で過ごした。
辺りがオレンジ色から紫色に変わることやっと家に帰った。

「……ただいま」

「おじゃまします」

その数秒後、家の中が騒がしくなった。

リビングに入ると双子が抱きついて来た。
1週間振りの双子は懐かしかった。

「「お姉ちゃんおかえり!!」」

双子に続いてママとパパが抱きして来た。

「「お帰りなさい」」

あたしはびっくりして立ち尽くしたままだった。

なんで、自分の子供じゃないのにそんなに優しい声で言うの?
なんで、怒らないの?

呆然としたままいると頬に涙が伝った。
でも、私は泣いてない。
ママだ!

ママとパパを見ると2人ともクマが出来ていた。

「悠太くんありがとう。心のこと」

「パパさん達の大切な心を1週間お借りしました」

「心。もぅ、メールも電話も無視して!お母さん心配したんだから」

何が何だか分からなくなった。
心配した?あたしを?
どうして?
親友の子供だから?

「とりあえず、2人とも席に座ろう。元気と花音は部屋で遊んでなさい」

双子が大人しく部屋に戻りあたしと悠太は席に座った。

「悠太くん……ほんとにありがとう。うちの娘のことを守ってくれて」

「心…あなたの事ずっとパパとママは自分の子供のように育ててきた。双子と同じように愛を注いでるのよ」

「私はいらない子でしょ!?」

驚いた顔をしたパパとママ。
次にあたしの目に映ったのは頬を打って泣きそうなママだった。

「いらない子なんて思ったことないわ!心のことお腹を痛めて産んでないけどあなたは私たちの子なの!!!」

「なら、なんで今言ったの?今なら、一人暮らし出来るから?」

「何言ってるんだ!!パパは絶対に一人暮らしなんて認めんぞ!心はこの家に暮らしていいんだ」

「心の事、ママ達は邪魔なんて思ってないわよ。あなたがいて私達がいるの。心がいないと亜月家じゃないわ」

「心のほんとに愛してるんだ」

パパ達の本当の気持ちをした。

隣で悠太が手をずっと握ってくれた。

話し合いは1時間に及び終わった。

「パパママありがとう。私2人の事も双子の事も大好きなのだから、これからもよろしくお願いします」

「当たり前よ」

また、パパとママは抱きしめてくれた。
その後ママから氷を貰ってほっぺたを冷やした。

「悠太くん、今日は晩御飯食べて帰らない?お母さんに伝えておくから」

「なら、ご馳走になります」

双子達も降りて来て悠太は2人の相手もしてくれた。


後日、パパとママに聞いた話だけれどもあたしがプチ家出している時にその日のあたしのことを両親に伝えてくれていたらしい。

「ねぇ、悠太…」

「なに?」

「あの時、パパとママが私に養子縁組だって教えてくれて良かったと思ってるの」


「なんで?」

「もし、パパやママに言われないで知っていたらあたしは生きる希望するなかったと思うの」

「だから、あたしは2人に教えて貰えて良かった。2人の口からほんとのことを聞けて良かった。本当の家族って言ってもらえて良かった」

「俺は、どんなお前でも愛し続けるから」

悠太はそう言ってあたしを抱きしめた。


数年後どうなったかはまた別の機会に……

END