綺麗に飛ぶ鳥が突然撃たれるような話


私は気づかなかった説明書に"絶対に薬と石の方法を同時に行わないでください"の注意書きに。

ぐるぐると世界が回る、夢の中のような感触、けど夢じゃないってなぜかわかる。
目をこすってよく周りを見渡してみればとても綺麗な光景が広がっていた。

思わず


『綺麗』


そう声に出すほど綺麗なのだ。
空は青く、空気は美味しくて森がたくさんあってさらには動物も沢山でまさに天国ではないか
私の今の格好はきっと定番的な始まりの服〜とかそんなやつである。


『んー』


ゲームの中でも疲れを感じるみたいで眠くなってきてしまった。
が、初めてそうそうお昼寝時間をとりますなんてするわけがなかろう

よしっ、街へと向かってみるか

心の中で呟くと同時に大きな音を立てて私は頬を軽く叩いた。


「ヒャッヒャッヒャッ!」


「もっとやれ!」


「クスクス」


町中が賑わっている、なぜだ?
その疑問を確かめるべく周りを見渡してみよう、あぁ、そういうことか。
その賑わいの原因はピエロのような集団が芸を披露しているからだ。

"ような"というわけなのでただフードをかぶって剣を振り回しているだけ。


「嬢ちゃん、新人かい?」


『そんなところです』


「ふふっ、じゃあこっちへおいで」



ゲームだから大丈夫か、そんな理由で知らない相手についていく。
相手は黒い服を纏っており、声からするに若くはないと思う。


「ここだ」


相手の指を指した方向に目をやればそれはそれはオンボロのお店? とも呼び難いお店。
こんなところで何をするのか
プロローグとかそういうのや、ゲームの開始方法を教えてくれるのか


「エラー、エラー、エラー、エラー」


『は?』


「消去消去消去消去消去消去」


いきなりなんなのよ! そう声をあげて腕を必死に振り払う。
何がエラーだ何が消去だ、もしかすると私、迷いこんでるんじゃないか?
本当は何か別の場所で目覚めて説明や基本的ルールを教えてもらえたんじゃないのか?

いいや、分からないんだから考えたって仕方あるまい。



「うわっ、なんだよ」


『すみません、通してください、すみません、すみません』


何度も同じ言葉を繰り返し、あの相手から逃げるため必死に人混みを抜けていく。 ゲームなんだからここで助けに来てくれる兵士とかでてきてもいいじゃないか

ただのゲームなんだからさ


はぁはぁはぁ


息が乱れて私の体は疲れているからやめてくれと言わんばかりに動くことをやめた。
いや、動きたくないと抵抗しているのか、無理矢理なら足は重いが動く。


「そこの君」


私自身のことを指をさし頭を横に傾けてとうと、貴方であってる、と返事をくれた。
赤い髪を前髪までポニーテールでまとめ、見え見えの剣が腰に巻かれている。


「エラーよ」


『またですか?!』


「貴方がゲームの使い方を間違えるからいけないの、ここからもう出れることはないし、貴方は一生ここで暮らすことになる、わかった?」


そんな簡単に説明されてもことが重すぎて中々読み込めないし、何しろ今とてもじゃないほど疲れていて頭が痛いんだ、少しぐらい休ませてはもらえないか。


『わ、私は……どうなる……の』


乱れた呼吸を直しながら息を飲んで精一杯声をできる限りで出したつもり。


「一度死ぬか、記憶をなくすかよ
いえ、選択肢ない、どっちも選びなさい」


『記憶がないのは困りますし、死ぬのも怖いですからどっちもできれば避けたい道……グッ』


痛くない、けど血がにじみ出る、何が起きた、なんで私は倒れこんでいる。

痛い、その感情が遅れて身体の神経を通って脳から私に伝えてくる。


「おめでとう、これで貴方もここ、想像もできない世界の兵士よ」


『ふざけ……んな』


私の意識は私が抵抗したにもかかわらずすぐにへと消えていってしまった。