思わず目を見開いた、だってこのゲームのキーのようなマークは私の今現在進行形で持っている本と同じなんだもの。
そのマークはライオンが立っていて尻尾がくるりとライオンを囲むように一周している。
さらにその尻尾には草やツタのようなものがシツコク描かれていて……正直まったく同じと言ってもいいと思う。



「貴方の本と同じだと思って、もしかしたら同じ人が作ったんじゃないって勘付いて、ね?」


『このゲームは、この本を元に作られている、という可能性も大いにあります』


「不思議ね……」


お互い本に目を止め、覗くような形でどんどん内容を読みとっていて、まるで子供の姿を初めて見た母親のようだ。

ゲームの内容はファンタジー系らしく、オンラインのRPG。
少し興味がわいた、やってみる価値はある、価値しかない。
お姉さんは目を細めると小さなあくびを手で隠しながらした。


「お値段1万円、確か大人気で売れしれたんだと思います」


『通販で買えますか?』


「予約制で運が良ければすぐに届いてけてもらえるって感じ」



そんなにしたいなら、譲ってあげようか? とカバンからもうひとつ同じソフトを取り出すお姉さん。
本当は彼氏に頼まれたんだけどね、と私に言う、あ、もちろんお金はちゃんと払ったよ。
ただでなんて厚かましいことするつもりはさらさらない。



『ありがとうございます』


「いいのよ、あぁ、もうこんな所まで来てたのね、ありがとうとても楽しかっわよ、瞳」


『え?』



私はいつ、彼女に神崎 瞳という本命を教えたのだろうか、あぁ、そういえば私今制服で指定された鞄だから名前がだだ漏れだったんだっけな。
納得の二文字ですよ

電車を素早く降りる、良かった。
いい買い物ができたような気がする、多分