いつしか人間は死ぬ
だが死ぬとはなんだ? 肉体が動かなくなることか、それともその人間がその人間ではなくなることか?
人間が全てなど誰が決めた、この世界は不思議に包まれている、なぜ、人間に進化する前の生物はいたのだ、どこから出てきたのか。
そもそも空間や空気はなぜあるんだ。
ほら、誰にもわからない。
夢だって実際なぜ見ているかわからないんだ、もしかしてその夢は五次元や4次元の自分かもしれないよ。
「なんの本を読んでいるんですか?」
フフッと笑いながら電車で揺られていた私の隣いた黒髪黒目、年齢は20歳ぐらいだろうか? 綺麗なお姉さんが私に話しかけてくる。
『綺麗に飛んでいた鳥が突然撃たれるような話っていう本なんです。
この本、誰が書いたのかもどこからやってきたかもわからなくって、代々私の家で受け継がれていく本……だったんですよ。』
「だった?」
興味津々の彼女は耳に髪の毛をかける仕草をした、美人な彼女がその仕草をするとこの近距離では女の私でもドキッと胸を鳴らしてしまう。
いや、別にそういう感情を持っているわけではない。
『ここから先は教えませんよ』
「無理に話す必要もないので大丈夫ですよ、私も個人的な話はあまり好まない主義なんです。」
『あら? 私達似た者同士じゃないですか』
こういう風に親しく17歳、現在高一の私と成人してそうなお姉さんと初対面のはずなのに話すのはきっとこれで最後なのだろう。
お姉さんはカバンから、そうそう、と思いついたように何か取り出した。
『これは?』
取り出したものは大きく"想像もできない世界"と書かれており、描かれているのは重力に逆らい壁を華麗に登っている途中のツインテールの女の子。
「ちょっとこの本の最初のページを読んでみて」
『は、はぁ……』
まぁ、私が降りるのは相当先なので時間はあるが、あまり気は進まない。
私はゆっくりと渡された薄い本を開く