「はぁ……」


みんなが寝静まった頃、

ハルと茜のキスの事や
衝撃的な告白が頭から離れないまま寝付く事が出来なかった。


そんな事から少し頭を冷やそうと、あたしは別荘の前の海辺に来ていた。


月の光りでキラキラ光る海。
心地よい海風が吹く静かな海岸は波の音だけが響いている。



あたしの気持ちも…
海に流れてしまえば良いのに。


引いては押し寄せてくる波。

抑えたってすぐに戻ってきてしまう気持ち。

それが現実。





あたしはどうしたら良いの…


ハルの事が好き…


そんな言葉を言う事が許されないように

浮かんでくる茜の笑顔。



二人が両思いなんだとしたら

あたしの思いはただ邪魔になるだけだ…



それに、そんな事を言ったらハルを困らせるだけじゃなく
茜を傷付ける事になるだろう。


あたしを大切に思ってくれる茜を悲しませたりしたくない。



でも…


でも…


どうしようもないほど

あたしはハルの事が好き。


ハルの無邪気な所も

時々見せるクールな所も

意地悪な所も

そして優しい所も


全部が愛しくて大好きなんだ。


ただそれだけなのに

神様は意地悪なのかな…