間近で見れば、少年はとても美しい顔立ちをしていた。

澄んだ青い目に、吸い込まれるような錯覚に陥る。

そして、応えるように彼が珠喜に向けた笑顔は朝日のように眩しかった。


「こんにちは」

「ど、どうもこんにちは、奥さま……」


彼の日本語はとても滑らかで、透明な声色に乗ってその純粋さを伝える。

それから、叱られると思ったのか、急に笑顔を曇らせた少年は、申し訳なさそうに頭を下げた。


「いつも奥さまを見ておりました。とても……お美しいから」


濁りのない言葉に、珠喜は驚き、そして素直に嬉しさを感じた。

「まぁ……嬉しい。でもわたくしは、あなたの方が何倍も美しいと思うの……まるで宝石のようだもの。宜しければ、お名前を教えてくださらない?」


少年は珠喜の意外な言葉に戸惑いつつも、無邪気な笑みを浮かべてこたえた。