籠姫奇譚


「姐さん」


「……」


「珠喜姐さん!」


あげはに呼ばれて、ハッとする。


「あ……」


いつの間にか、肌に引っ掻いたような傷が出来ていて、あげはが心配そうに見つめていた。


「ごめんなさい……。大丈夫よ」


心配させまいと微笑んでみせるが、それでもあげはは不安げな色を瞳に宿していた。