フィンセはナンバー1

「ごめん。りくに変なこと聞いたりしてー」

 南君は、すまなさそうに頭を下げた。

「ううん。気持ちも、はっきり聞けてよかったし……」

 あたしは、ブンブン首を振ると、お弁当を食べ始めた。

「あのさー。付き合うのは明日までだけど、よかったら、このまま、本当に付き合わないか?」

「えっ……」

 お箸で挟んでいた玉子焼を、ポロッと落とした。

「まだ、あいつのこと好きなのは、わかってるー。少しずつでいいから、俺のこと好きになって」


 このまま、南君と付き合ってしまえば、りく君のことは忘れられるのかなー?


「少し考えといて」

「う……ん」

 あたしは、戸惑いながら返事をした。





 それから、2、3日過ぎたある日のことだったー。

 学校からの帰り道。

鞄に入れておいた、携帯電話が鳴り響いた。

「もしもし、琴音ちゃん?」

 電話の相手は、りく君のお父さんからだった。

「お、お久し振りです」

「悪いね、急に電話してー」

 久し振りに聞く、おじさんの声は何処か懐かしい感じがした。

「いえ……」


「実は、陸斗が撮影中に落下してきたスポットライトの下敷きになって、怪我してね……」