フィンセはナンバー1

 あたしは慌てて、りく君から離れて行こうとした。

 でも、りく君に腕を掴まれた。

「身体、大丈夫なのか……?」

 りく君は、心配そうにあたしを見つめた。

「う、うん……」


 そうだー。りく君の目の前で階段から落ちたんだった……。


「よかったー」

 りく君が、ホッと一息ついた。

「……」

 何だか、りく君が、いつもと違って優しい……。


「り、りく君は、セリフの練習?」

「次の新番組の出演が決まったからなー。そうだ、セリフの練習、手伝えよ」

 珍しいー!!
 一度も、そんなこと言ったことないのに。

 ま、会えば婚約のことで、言い合いになってたからかも知れないけどー。

 でも、やっぱり、今日のりく君、変だよ!?

 それから、あたしは、セリフ合わせに付き合うことになった。


「じゃあ、ここからな」


 りく君は、セリフの所を指差した。


「ゆ、優馬……。美夏と付き合っているって本当……?」

 あたしは、ぎこちない声で、セリフを読んでみた。

「本当だよ。でも、俺が好きなのは萌だから」

 りく君は、真剣な瞳で、あたしを見る。

 どうやら、今度はプレーイボーイの役らしい。