「別に、そう意味じゃない、褒めてんだよ。 俺は横山 渚。 あんたは?」 知ってるくせに聞くなんて俺はバカだ。 意地っ張りにもほどがあるだろう。 「岸 梨花です」 「ふーん、岸ねぇ。 覚えていてあげるよ、ほらとりあえずその泥落としに行くよ」 俺は岸のランドセルに荷物などを詰めてそれを肩にかける。 「あ、待ってくださいっ!」 さっきまで壁にもたれ掛かかり、倒れこむように座っていた彼女は素早く立って俺の隣までトコトコと歩く。