「岸って、横山 俊 (よこやま しゅん)って奴知ってるだろ?」 気怠げな物腰の彼は、どこまで知っているかわからない。 図ろうとしても緩く交わされてしまう。 どうしてこいつが横山くんの名前を…? ここは教室だから、無駄にリアクションも取れない。 私達を怖がってる奴らがたくさんいて、いつ潰そう、いつ近づこうなどと考える奴らもたくさんいる。 だから、私は走る以外に逃げる術はない。 私は教室から、彼らから、渚から逃げ出した。