その日の夜の事だった。 ブブブブッ ブブブブッ マナーモードにしていたケータイが机の上で震えていた。 着信は『谷 沙希 (さき)』、俺の妹からだった。 「もしもし?」 『おにぃちゃんっ… お願い、助けて! 』 どうやら沙希は俺のダチに拉致られ ているらしい。 俺があんな奴らとつるまなければ沙希に怖い思いをさせなくても済んだのに…。 「あぁ、わかったすぐに行く」 それだけ言って電話を切る。