プルルルル プルルルル… 発信音が虚しい音を奏でる。 あー、電話は嫌いだ。 「梨花か。 昨日はなぜ連絡をしなかった。 ケータイをいつも持ち歩くよう言っているだろ?」 お父様の全てを支配しているような威圧的な声が耳元にズシリと音を立てて居座る。 「申し訳御座いません、凛が…」 「また、凛が倒れたのか? 彼奴は母親そっくりだな。 まったく、彼女にさえ似てなければ今すぐにでも捨てていたよ、あんな出来損ない」