「どういたしまして」


ニコッと笑う彼に私はすっかり気を許してしまっていた。

荒れている私にとって、その笑顔は今までにない優しさだったから。


「私は、岸 梨花。

えっと、あんたは?」


「ハハッ。

きっと俺は君よりは歳上だよ。
俺は沖田 綾斗、よろしくね」


スッと手を差し出されてその手を掴む。

するとまた、ニコリと微笑まれ綾斗さんは口を開く。


「そうだ、悪魔って知ってる?」


「悪魔…?」


「あれ、知らない?


ほら、オッドアイで黒い服の!」


誰…?それ


「分かんない」