「この学校にはトップなんていないけど?」 事実上はそうなっている。 手なんて回さなくてもそれは確定。 誰がどう聞いても、みんなそう答える。 それが、この学校の暗黙のルールってやつだ。 「ここには、華冷(かれい)がいるはずなんだ」 「華冷ってもう大学生じゃないの?」 華冷…それは私がまだあの場所にいた時の通り名。 ただただ冷たくて、儚くて、汚れている。 そして、無機質で彼が勝手につけた名前だ。