「ったく。しょうがないな。桜田。すまんが代わりに呼んでくれ」
しびれを切らした桜田が国語教師に指名される。
「はい。先生」
桜田は僕と違ってサッとページをめくると、文章を読み始めた。
「--黒薔薇は白薔薇に言いました。『あなたは、みんなにすかれていいわね。私はこんな見た目だからいつも悪役だというのに...』」
桜田が読んだのは前回の続きで花を擬人化した童話だった。
主人公は白いバラ。
人気者の白いバラは、他の花たちから嫌われている黒いバラに会い、その孤独と悲しみを知る。
白薔薇の説得で他の花々と和解することになるが団結力という武器を持った花たちに根を抜かれ殺されそうになる黒薔薇。
そして結局、黒薔薇は他の花々を鋭い棘で皆殺しにしてしまったという何ともシリアスな童話だ。

