すると視界に上履きが見えた。





そうっと顔をあげると桜田が立っていて





「よろしく」




と手を差し出された。




僕はその手に自然と導かれるように、そっと握り返した。






これが僕の一つ目の過ちだった。







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数日経つと桜田涼子はすっかり学年で人気になった。




対する僕は休み時間になるたび殴られて、パシリにされてボロボロになった。




僕は典型的ないじめられっ子だった。







「涼子ーー!!それでね!」


「この前のことでさー!」


「てかさー!長野邪魔じゃね!」





桜田涼子の席にはたくさん人が集まる。

当の本人が動かなくても、たくさん人が集まる。

その1人が僕の机に足をのせながら言った。





「長野まじキモー!!」


「何その長い前髪ーーー!長野だから前髪長いんですかーー!?」


「ちょーウケんだけど!」





教室内でも殴られてボロボロになる。



誰も止める人はいない。






殴られながら視界にうつったのは美しい桜田の顔だった。