『えー。空いている席は…』




このクラスに空いている席なんてひとつしかない。

教卓に向かって二個づつ三列に並べられた机の真ん中の列の一番後ろ。





みんなからひとつ外れた出っ張った席。





僕の席。


僕の席の隣は誰もいない。







『長野のとなりかな!!』






長野…。長野智也。僕だ。


クラス全員がこっちを向いて睨んでる気がした。





僕は怖くて俯いていた。





なんでよりによってここになるんだ!

なんでみんなこっちを見るんだ!