恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

会うか、会わないか。


とにかく悩んだ。


悶々と悩んでいたらあっという間に1ヶ月が経とうとしていた。


きっかけは堀北さんが店に顔を出してくれた時に見せてくれた、1通の手紙と1枚の写真だった。


「ごめん。もっと早く来たかったんだけど、新人が入って来て何かと忙しくてさ」


これ、と堀北さんはパンケーキを咀嚼しながら、その封筒をあたしに差し出した。


潤一から堀北さんに宛てられた手紙だった。


その消印を見て、あたしは目を見開いた。


「どういうこと?」


首を傾げたまま固まるあたしを見て、堀北さんが面白おかしそうに肩を揺らして笑う。


「その様子だと、何も聞いてないみたいだな」


さすがさすらいの榎本、と堀北さんは笑い続ける。


カンボジアの前に行きたいところって、ここだったのか。


消印はちょうど1ヶ月前で、沖縄の那覇から送らられていた。


「行ったみたいだよ、沖縄に」


堀北さんは封筒から中身を抜き出し、写真を見せながら言った。


「ここ、須藤の故郷でしょ」


「……はい」


懐かしい風景が一気に全身に蘇った。