「今すぐじゃなくていい。僕が帰国したらでいい」
「何これ」
潤一はひとつ咳払いしたあと、やけに改まった口調で言った。
「僕が帰国したら返事を聞かせて欲しい」
茶封筒の中を確かめると、それは婚姻届だった。
「結婚しよう」
あまりにも突然のことに、あたしは唖然としてしまった。
なんだってこの人は何をするにも突然なんだろう。
すでに潤一のサインは済んでいて印鑑も押されてある。
開いた口が塞がらないあたしに、潤一は笑みひとつ浮かべずに言った。
「僕なりに腹をくくりました」
今回ばかりはふざけているのでも冗談でもないのだとはっきり分かった。
「カンボジアのシエムリアップって街に知り合い夫婦がいるんだ。しばらくそこに居候させてもらうことにしたから」
「そう」
「うん。アンコール遺跡群は数字じゃ撮りきれないから。宿泊費のこと考えて。帰国は8月の予定だから」
「あ……うん」
「それまでに答え出しておいて」
今までに見たことのない真剣な表情だった。
同時に初めてだった。
具体的に帰国を口にする潤一は初めてだった。
だから、あたしは真剣に頷いた。
「分かった。ありがとう」
「何これ」
潤一はひとつ咳払いしたあと、やけに改まった口調で言った。
「僕が帰国したら返事を聞かせて欲しい」
茶封筒の中を確かめると、それは婚姻届だった。
「結婚しよう」
あまりにも突然のことに、あたしは唖然としてしまった。
なんだってこの人は何をするにも突然なんだろう。
すでに潤一のサインは済んでいて印鑑も押されてある。
開いた口が塞がらないあたしに、潤一は笑みひとつ浮かべずに言った。
「僕なりに腹をくくりました」
今回ばかりはふざけているのでも冗談でもないのだとはっきり分かった。
「カンボジアのシエムリアップって街に知り合い夫婦がいるんだ。しばらくそこに居候させてもらうことにしたから」
「そう」
「うん。アンコール遺跡群は数字じゃ撮りきれないから。宿泊費のこと考えて。帰国は8月の予定だから」
「あ……うん」
「それまでに答え出しておいて」
今までに見たことのない真剣な表情だった。
同時に初めてだった。
具体的に帰国を口にする潤一は初めてだった。
だから、あたしは真剣に頷いた。
「分かった。ありがとう」



