恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

高校生の夏に沖縄へ移住したこと。


そこは不思議な島だったこと。


神様が宿るガジュマルの木。


「へえ、ユタね。会ってみたいな」


「でも、会ったらびっくりするよ。あまりにも可愛くなくて」


「望むところだ」


「おばあはびっくりするくらい無愛想だけど、すっごくあったかい人なの」


彼女はとびっきり腕のいいシェフで。


看板メニューはアバサー汁。


島いちばんのユタのウシラシの的中率。


「昨日もメールしたんだ。将来は自分のお店を出すためにお金貯めてるみたいでね。節約が趣味になっちゃったっんだって」


「里菜ちゃんだっけ」


「そう。ハーフでね美人なんだ」


ゆっくりだけど、着実に夢の階段をいち段ずつ上がっている、かけがえのない親友のこと。


「ばっかだねー、そいつ」


「でも、調理師の資格とったんだから。悠真」


アイドルになれると(たぶん)本気で信じていた、黙っていればかっこいいのにしゃべると全て水の泡になってしまう、ちょっとばかな男友達のこと。


赤いピアスの話。


1年中咲き誇るハイビスカス。


真冬に満開になる桜。


瑠璃色の瞳のネコ。


「兄は医師、妹は看護師を目指していてね」


隣の家に住んでいた兄妹のこと。