恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

嬉しくて泣いた。


「お帰りなさい」


「ただいま」


潤一はあたしが泣き止むまでずっと、げらげら笑っていた。


「一応、念のために聞くけど。待ってたの?」


「見て分からないの」


「分かります」


「じゃあ聞かないで。それと、笑わないで」


「一応聞いてみただけだよ」


「だから、笑わないでったら」


どこかで日向ぼっこでもしてきたのかもしれない。


「まさか陽妃が泣くなんて思ってなかったから」


びっくりした、そう言って、笑いながらあたしを抱き締めた潤一からはひだまりの匂いがした。


その夜、あたしはベッドの中で潤一のぬくもりに触れながら思った。


この人はまたふらっと居なくなって、ひょっこり戻って来るんだろうな。


これからきっと何度も。


そして、そのたびにあたしは待つ羽目になるのだろう。


自由気ままなこの人を。


「陽妃は行ってみたい国はないの?」


友達ではないし、恋人でもない。


だけど、それでもあたしは待つと思う。


「あるよ」


だから、潤一には全てを打ち明けたのかもしれない。


「どこ?」


「沖縄、与那星島」


「沖縄? って日本じゃないか」


「うん、でも与那星島はあたしにとって、遠い遠い海外みたいな存在だから」


「遠い、遠い?」


「もう戻れない場所」