一層濃くなる潮の香りと懐かしい感触の風。
フェリーは島の船着き場を目指し、ゆっくりのように思えて意外と早くぐんぐん近付いていく。
あたしはベンチを立ち、甲板の手すりにつかまり、みるみる近くなってくる入り江を眺めた。
フェリーを待つ人々や車が押し合い圧し合い、我が我がと船着き場に集まっている。
旅行客だろうか。
まだ3月だというのにすっかり日に焼けた家族連れや若者たち。
同じ学生服の集団はきっとい修学旅行なのだろう。
日傘をさしたちょっと上品な老夫婦。
それから……。
「……あ!」
真っ白なTシャツにゆるいジーンズに、ビーチサンダル。
太陽の光をつやつやと跳ね返し輝く、真黒な髪の毛。
大きく大きく手を振っているのは……。
「海斗ー!」
一目ですぐに分かった。
あたしの大切な人だと。
彼の口が大きく、大きく、ゆっくりと動く。
は、る、ひ、お、か、え、り、と。
あたしも頷きながら海斗に負けないくらい大きく大きく手を振り返した。
フェリーは次第に速度を落としながら船着き場へ寄っていく。
日焼けした派手な服装の若者たち。
黒い犬を連れた老夫婦。
浮き輪を持ってはしゃぐ子供たち。
麦わら帽子の若いご夫婦たち。
真っ白なTシャツにゆるいジーンズの海斗、それから……。
白地に紫の小花柄のワンピースに……島……ぞうり……。
「……え」
あたしはごくっと言葉を飲み込んだ。
そして、わが目を疑った。
あたしに向かって大きく大きく右手を振る海斗の左隣に、ちょんと立っているその姿を見て、
「あっ……ああ……うそっ!」
あたしは手すりに飛びつき、ぐんと身を乗り出した。
フェリーは島の船着き場を目指し、ゆっくりのように思えて意外と早くぐんぐん近付いていく。
あたしはベンチを立ち、甲板の手すりにつかまり、みるみる近くなってくる入り江を眺めた。
フェリーを待つ人々や車が押し合い圧し合い、我が我がと船着き場に集まっている。
旅行客だろうか。
まだ3月だというのにすっかり日に焼けた家族連れや若者たち。
同じ学生服の集団はきっとい修学旅行なのだろう。
日傘をさしたちょっと上品な老夫婦。
それから……。
「……あ!」
真っ白なTシャツにゆるいジーンズに、ビーチサンダル。
太陽の光をつやつやと跳ね返し輝く、真黒な髪の毛。
大きく大きく手を振っているのは……。
「海斗ー!」
一目ですぐに分かった。
あたしの大切な人だと。
彼の口が大きく、大きく、ゆっくりと動く。
は、る、ひ、お、か、え、り、と。
あたしも頷きながら海斗に負けないくらい大きく大きく手を振り返した。
フェリーは次第に速度を落としながら船着き場へ寄っていく。
日焼けした派手な服装の若者たち。
黒い犬を連れた老夫婦。
浮き輪を持ってはしゃぐ子供たち。
麦わら帽子の若いご夫婦たち。
真っ白なTシャツにゆるいジーンズの海斗、それから……。
白地に紫の小花柄のワンピースに……島……ぞうり……。
「……え」
あたしはごくっと言葉を飲み込んだ。
そして、わが目を疑った。
あたしに向かって大きく大きく右手を振る海斗の左隣に、ちょんと立っているその姿を見て、
「あっ……ああ……うそっ!」
あたしは手すりに飛びつき、ぐんと身を乗り出した。



