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ネェネェ、教えて下さい。

ネェネェは、どんな12年を生きて来たの?

どんな風景を見て、この12年を過ごして来たの?

辛かった? 苦しかった?

それとも、幸せだった?

運命とはきっとどこまでも繋がっとるんじゃないかって。

そう思うようなことばかりの12年を、美波は生きてきたんだよ。

ずっとずっとずーっと。

奇跡を願って、ただひたすらに大好きなふたりのカフーを願って、美波は生きて来ました。 

止まっとった時間が動き出したのは、いま思い返すと、同封したこの1枚の写真だったと。

ネェネェと二ィニィの恋を繋ぎ止めてくれたのは、美波でもオバァでもなくて、榎本潤一さんという人だったんだと。

美波にはそう思えてならんよ、ネェネェ。



それは2年前。

与那星島に初夏の青空が広がった、5月のある日の午後のことだったそうです。


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「ひっ……宏子さんっ、宏子さん!」


あたしは封筒を左手で、便箋を右手で握り締めてカウンターの中に飛び込んだ。


夜のバーの準備をしていた宏子さんがぎょっとしてあたしを受け止める。


「なしたのさ! そったに興奮して」


「どうしようっ……あたしっ」