「えっ! ほんとに?」
弾かれたように振り返って窓の外を確かめると、夜の始まりを知らせる空が広がり、はらりひらりと雪片が舞っていた。
大粒の羽根雪だ。
「わあっ……綺麗。でも、このまま降り続いたら積もりそう」
今、16時を過ぎてコンサートが始まった頃だろう。
あと約3時間後。
コンサートが終わってドームの外に出たら、美波ちゃんたち喜ぶだろうな。
雪が見たかったって言ってたから。
喜んではしゃぐふたりの姿を想像してこっそり吹き出すあたしの隣で、
「ほーれな。したがら言ったべ。雪降って来るどって」
シゲさんが帰り支度をしながら、右膝を擦る。
「うん。すごい、シゲさん」
ふふっと笑うと、シゲさんもフフンと得意げに笑った。
「おれの膝は天気予報より正確なんだ」
「はい」
「さぁて」
とシゲさんがベレー帽を頭に乗せ、どっこいしょと立ち上がる。
「したら積もらねえうちに帰るとするべ。宏子ちゃん、なんぼだ?」
そして、会計を済ませてひょっこりひょっこりと右足を引き摺りながら、ドアに向かって杖を突いて歩いて行く。
「うわぁ、まじで降ってきた。シゲさん、気を付けてね。ほんとに気を付けてよ」
カウンターの中から身を乗り出して宏子さんが声を掛けると、
「はいはい、どうもどうも。また来週な」
なんだって心配性だな、とシゲさんが背を向けたままひょいと片手を上げる。
そして、木製のドアハンドルに手を掛けて、だけど開けずに立ち止まった。
「ああ、んだ。お嬢さん」
シゲさんはぽっと思い出したように言い、振り返るとあたしに向かって聞いてきた。
弾かれたように振り返って窓の外を確かめると、夜の始まりを知らせる空が広がり、はらりひらりと雪片が舞っていた。
大粒の羽根雪だ。
「わあっ……綺麗。でも、このまま降り続いたら積もりそう」
今、16時を過ぎてコンサートが始まった頃だろう。
あと約3時間後。
コンサートが終わってドームの外に出たら、美波ちゃんたち喜ぶだろうな。
雪が見たかったって言ってたから。
喜んではしゃぐふたりの姿を想像してこっそり吹き出すあたしの隣で、
「ほーれな。したがら言ったべ。雪降って来るどって」
シゲさんが帰り支度をしながら、右膝を擦る。
「うん。すごい、シゲさん」
ふふっと笑うと、シゲさんもフフンと得意げに笑った。
「おれの膝は天気予報より正確なんだ」
「はい」
「さぁて」
とシゲさんがベレー帽を頭に乗せ、どっこいしょと立ち上がる。
「したら積もらねえうちに帰るとするべ。宏子ちゃん、なんぼだ?」
そして、会計を済ませてひょっこりひょっこりと右足を引き摺りながら、ドアに向かって杖を突いて歩いて行く。
「うわぁ、まじで降ってきた。シゲさん、気を付けてね。ほんとに気を付けてよ」
カウンターの中から身を乗り出して宏子さんが声を掛けると、
「はいはい、どうもどうも。また来週な」
なんだって心配性だな、とシゲさんが背を向けたままひょいと片手を上げる。
そして、木製のドアハンドルに手を掛けて、だけど開けずに立ち止まった。
「ああ、んだ。お嬢さん」
シゲさんはぽっと思い出したように言い、振り返るとあたしに向かって聞いてきた。



