シフォンケーキが焼き上がったのは、15時頃。
オーブンからふわふわのケーキを取り出し、「私、意外と天才なんでない? お菓子の才能あるんでない?」なんて慎重に切り分ける宏子さんの様子を見つめながら、あたしはコーヒーをすする。
いい匂い。
甘くやさしいメープルの香りと香ばしい生地の香りが絶妙に調和され、店内をふわりふわりと漂う。
「陽妃ちゃん、陽妃ちゃん」
どうやら焼き加減にも大満足のようだ。
「私、パティシエになれるんでない?」
切り分けたケーキに純白のホイップクリームと新鮮なミントの葉を添えて、宏子さんが満足げに少女のように微笑む。
「食べてみてよ」
はい、と宏子さんがケーキを差し出してくれた。
「美味しそう。本当にいい匂い」
いただきます、と添えられていたフォークを掴んだ時、
「ああ、いい香りだなあ」
グッドタイミングでトイレから戻って来たシゲさんが香りに誘われて、よっこいよっこいと右足を引き摺りながらカウンター席へやってきた。
「良かったらシゲさんも。試食してよ」
宏子さんは言い、もうひとつ、ケーキを乗せた小皿をカウンターに置いた。
「ありがとう。したら、いただこうかな」
シゲさんが微笑む。
「隣、いいですかな」
「はい、もちろんです。どうぞどうぞ」
あたしは微笑み返しながらこくこく頷いた。
「失礼」
どっこらしょ、とシゲさんはあたしの隣の席に座り、不自由な右足を手で擦る。
「痛で痛でぇ。参ったなあ。冷えると特にな」
オーブンからふわふわのケーキを取り出し、「私、意外と天才なんでない? お菓子の才能あるんでない?」なんて慎重に切り分ける宏子さんの様子を見つめながら、あたしはコーヒーをすする。
いい匂い。
甘くやさしいメープルの香りと香ばしい生地の香りが絶妙に調和され、店内をふわりふわりと漂う。
「陽妃ちゃん、陽妃ちゃん」
どうやら焼き加減にも大満足のようだ。
「私、パティシエになれるんでない?」
切り分けたケーキに純白のホイップクリームと新鮮なミントの葉を添えて、宏子さんが満足げに少女のように微笑む。
「食べてみてよ」
はい、と宏子さんがケーキを差し出してくれた。
「美味しそう。本当にいい匂い」
いただきます、と添えられていたフォークを掴んだ時、
「ああ、いい香りだなあ」
グッドタイミングでトイレから戻って来たシゲさんが香りに誘われて、よっこいよっこいと右足を引き摺りながらカウンター席へやってきた。
「良かったらシゲさんも。試食してよ」
宏子さんは言い、もうひとつ、ケーキを乗せた小皿をカウンターに置いた。
「ありがとう。したら、いただこうかな」
シゲさんが微笑む。
「隣、いいですかな」
「はい、もちろんです。どうぞどうぞ」
あたしは微笑み返しながらこくこく頷いた。
「失礼」
どっこらしょ、とシゲさんはあたしの隣の席に座り、不自由な右足を手で擦る。
「痛で痛でぇ。参ったなあ。冷えると特にな」



