恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】










外は不安になるほど穏やかな冬の陽射しが降り注いでいる。


14時半を過ぎて間もなく、ひと組のお客さんがやって来た。


「宏子ちゃん、ブレンドね」


「私も」


近所の主婦のようだ。


「今日アレだべ。アラシのコンサート、最終日。うちの娘、仮装大賞みたいな恰好して行ったっけもん。オオノくんがいいんだど」


「あら、さっちゃんも? うちの隣の娘さんも昨日行って来たって言ってだっけ」


「へえ! 隣って、あの子だべ、ミキちゃん」


「んだんだ。なまらかっこいがったって、5人とも。興奮して帰って来たみたいだよ」


「だべなあ。まあ、私からしたらかっこいいっつうより、めんこいけどな、あの5人」


「まずな、息子みだいなもんだべ」


「したけど、私、5人の中だったらやっぱりアイバくんだな」


「えー、私は絶対マツジュン」


大盛り上がりの会話に思わず吹き出しそうになる。


与那星島に、自称マツジュンがいるだけに。


そういえば最近、連絡取っていないなあ。


里菜とはどうなっているんだろう。


うまくいっているんだろうか。


今日の夜にでも久し振りに電話でもしてみようか。


与那星島にいる、自慢の友人、自称マツジュンに。


「はあ。うちの旦那もあれくらい良い男だばいいのに」


「一般人さなばいないって。うちの旦那だって、昔はそれなりに良い男だったんだけどなあ。いまじゃあ横綱だ」


「うちもだあ、同じ。休みってばパチンコさ行くし」


他愛もない会話なのか愚痴なのかを弾ませ、最終的には夕飯の支度が面倒だとこぼし、主婦たちは20分ほどで帰って行った。


「冬場は近くてかなわん」


小説を読んでいたシゲさんが席を立ち、トイレに入って行く。


店内は再びがらんとして、ゆっくりとした時間が流れ始めた。